EIKOTIMELESS 石岡瑛子とその時代

文・取材:河尻亨一

# 【書籍化のお知らせ】評伝『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』書き終えました

TIMELESSカバー_ウェブ連載用.001

ようやく書き終えました。このたび書籍化されます。
(2020年11月20日発売)

このサイトで不定期連載をはじめたのが2015年。
ふと気づけば、5年たってました。

本来であればもう少し早く、完成するはずだったのですが、なかなか思うように書き進まず。岩盤を掘り進むような作業の日々でした。

石岡瑛子さんというモチーフは宝石のように硬く、透き通っているーーそんな感想です。

作品について、この場を借りて少しご説明を。

大きくは2部構成(全5幕)からなる評伝です。

評論ぽい部分もありますが、「主人公・石岡瑛子」のドラマ・シナリオのような感覚も入っています。書いてるうちに自然とそうなって行きました。

前半は主に瑛子さんの東京時代の物語、後半は主にニューヨークに拠点を移してからのストーリー。

瑛子さんと一緒に仕事をした日米のクリエイターの方々への取材を重ねながら、遺された膨大なアーカイブ資料もリサーチしつつ、石岡瑛子というデザイナーの「私」と「時代」のミステリーに迫るーーそんな内容になっています。

約580ページ(約40万字ほど)と、ちょっとボリュームあります。石岡瑛子さんの代表的な仕事を紹介するビジュアルページ(32P)も付いています。

実は本編はさらに長かったのですが、1/3くらい削りました。「読みやすさ」と「読み応え」のちょうど真ん中あたりに着地できたのではないかと思います。

瑛子さんというクリエイターを、クリアに映し出す"鏡"のような存在として、彼女の仲間でもあり、ライバルでもあった日本と海外の二人の"スーパー・クリエイター"の外伝(ミニ評伝)を本編のあいだの幕間劇としてインサートしました。一人は伝説の男性CMディレクター、もう一人はやはり伝説の女性映画監督です。

本書では「デザインするように書く」という試みにも
チャレンジしています。

ふたつの「外伝」もその工夫のひとつですが、全体を「シンメトリー」の構造にしています。それは石岡瑛子さんの謎に迫るための図像でもあります。

ブックデザインは箭内道彦さん、小杉幸一さん。

カバーは瑛子さんのデビュー仕事である「ホネケーキ」(石鹸)をイメージさせる色。それを切り拓いて赤い「瑛子&EIKO」が姿を現すーーそんなデザインになりました。カバーを外すと現れるものにもご注目を。

作品にこめたメッセージを、シャープかつ生命力あるビジュアルとして表現していただき、とても気に入っています。

いまなお宝石のように輝く瑛子さんの仕事のエネルギーと、激しくてラブリーな魅力的パーソナリティについて、本書を通じて多くの方に知っていただきたいと思います。

デザイナーやクリエイターではない方々でも読むと勇気がもらえる。そんな一冊になっているといいのですが。

東京都現代美術館(2020年11月14日〜)、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(2020年12月4日〜)でも石岡瑛子展が開催されます。衣装やポスターの現物を見られる、またとないチャンスになるでしょう。

このサイトで公開してきた本文は、書籍ではブラッシュアップしています。筆者の力の及ぶ限り、磨いて、磨いて、磨きました。

現状、このサイトに掲載している文章は、いま読むと荒い「下書き」や「下絵」を晒しているようで、正直、恥ずかしい気もしますが、インタビューに応えてくださった皆様のお話パートは面白く、なにより示唆に富む内容ですから、書籍のご紹介も兼ねて一部を、引き続き公開させていただきます。

2020年11月 河尻亨一

『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』 書籍情報

判型:四六判
定価:2800円+税
版元:朝日新聞出版

【目次】
プロローグ 白い部屋  
第一幕 グラフィックデザインと銀座、資生堂の時代  
 デザインに恋をするまで  
 ガラスの天井をぶち破った女ひと
 ホネケーキ以外はキレイに切れません  
 ライバルたちの夏  
第二幕 広告キャンペーンと渋谷、パルコの時代  
 街を舞台にダンス、ダンス  
 石岡瑛子のパルコ伝説  
 写真家の〝目〞になろうとしていた  
外伝Ⅰ フィルムディレクター杉山登志とその時代  
第三幕 ブックデザインとNY、「エイコによるエイコ」の時代  
 血と汗と涙のファースト作品集  
 あふれ出るエロスと「私」  
 自力の人・他力の人  
外伝Ⅱ 映像の巨人レニ・リーフェンシュタールとその時代  
第四幕 衣装デザインと映画の都、オン・ステージの時代  
 幻の映画『MISHIMA』のマッドネス  
 ジャズの帝王と写真の神様のあいだで  
 衣装が〝主演〞の映画『ドラキュラ』  
 西海岸の友人たち 
第五幕 時代と私を超える「命のデザイン」  
 青春にかえった女神  397
 2001年ボディの旅  
「落下の王国」でUP! UP!  
 合言葉はサバイブ  
エピローグ 鏡よ鏡  
あとがき その宝石は輝きを失わない  
主な参考文献  
石岡瑛子略年譜  
掲載作品・写真クレジット

【主な登場人物 ※インタビュー取材含む。敬称略】
秋山晶(コピーライター)/浅葉克己(グラフィックデザイナー)/安藤忠雄(建築家)/ゴン・イシオカ(猫)/五木寛之(作家)/伊藤佐智子(ファッションクリエイター)/伊藤隆道(造形作家)/アリス・ウォータース(料理研究家)/ニコラス・キャラウェイ(キャラウェイ・アーツ&エンタテインメント)/操上和美(写真家)/小池一子(クリエイティブ・ディレクター)/フランシス・コッポラ(映画監督)/十文字美信(写真家)/ターセム・シン(映画監督)/杉本博司(現代美術家)/杉山登志(CMディレクター)/ニコラス・ソウルタナキス(映画プロデューサー)/マイルス・デイヴィス(音楽家)/永井一正(グラフィックデザイナー)/長沢岳夫(コピーライター)/イサム・ノグチ(彫刻家)/原研哉(グラフィックデザイナー)/ヴェルナー・ヘルツォーク(映画監督)/増田俊也(デザイナー)/松岡正剛(編集工学者)/松坂静雄(編集者)/松永真(グラフィックデザイナー)/八木保(デザイナー)/山本又一朗(映画プロデューサー)/横須賀功光(写真家)/トム・ラディ(映画プロデューサー)/レニ・リーフェンシュタール(映画監督)

【石岡瑛子略歴】
デザイナー/アートディレクター。1938年東京都生まれ。東京藝術大学卒。1961年、資生堂宣伝部入社。前田美波里を起用したポスターなどで頭角を現し独立。70年代にはパルコ、角川文庫など時代を揺るがす数々のキャンペーン、ファッションショーの演出、書籍デザイン他を手がける。80年代初頭に活動の拠点をニューヨークに移し、以降は美術及び衣装デザインなど、さらにボーダーレスに仕事の領域を広げ、舞台「M.バタフライ」でニューヨーク批評家協会賞、アルバム「TUTU」でグラミー賞、映画『ドラキュラ』でアカデミー賞を受賞するなど世界的評価を得る。2012年逝去。作品集に『EIKO by EIKO』『EIKO ON STAGE』、著作に『私デザイン』他がある。2012年逝去。

【著者略歴】
河尻亨一(かわじり・こういち)
編集者。1974 年大阪市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。美大予備校講師をへてマドラ出版入社。雑誌「広告批評」在籍中には、広告を中心に多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断する数々の特集を手がけ、国内外の多くのクリエイター、企業のキーパーソンにインタビューを行う。現在は取材・執筆からイベント、企業コンテンツの企画制作ほか、広告とジャーナリズムをつなぐ活動を展開。カンヌ国際クリエイティビティフェスティバルを取材するなど、海外の動向にも詳しい。訳書に『CREATIVE SUPERPOWERS』がある。

【関連情報】
展覧会①:「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」(東京都現代美術館)/2020年11月14日(土)~2021年2月14日(日)
展覧会②:「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)/〈前期〉2020年12月4日(金)~2021年1月23日(土)・〈後期〉2021年2月3日(水)~2021年3月19日(金)